一般的に、日本人がビジネスレベルの英語力を身に付けるには1,850時間かかると言われています。
単純に一日2時間学習をし続けたとしても、2年半はかかる計算になります。
もちろん、学生時代の取り組み具合や、学習開始後の進め方、そして伸び率には個人差があるでしょうが、体感としても「まあ、それくらいだろうな」と思える数字です。
そう聞いて「じゃあ早めに始めなきゃ」と思う方もいれば、「そんなにかかるのならいいや」と諦めてしまう方もおられるのが現実でしょう。
実際に英会話を学びたいという方(特に社会人)には、「急に会社がグローバル化とか言い出した」「海外に転勤/出張する事になった」という方が多いです。
いざ必要になってから2年半も期間があるというケースは稀なくらいで、やはり短期間でかなりの英語レベルに達したいという需要は高いと言えます。
とはいえ、教える側の人間としては「3ヵ月で英語ペラペラになれるよ!」なんて発言は迂闊にできないものです。
1,850時間を遥かに上回る時間を英語学習に費やしたり、実際に英語圏に住んだりと、凄まじい労力を費やしてきたた実体験があるからこそ「そんな簡単なもんじゃない」と言いたくもなります。
また、スクールビジネスとしても、そんなアピールをしたらクレームやツッコミ所をわざわざ増やすようなものです。
求める声は多いのに、応えられるサービスは無いに等しい。
世間一般としても、どうせ無理だろうと認識しており、先に広がる数多くのチャンスを逃してしまっている。
「この状況をどうにかできないか?」とずっと考えておりました。
と、前置きが長くなりましたが、今回紹介させて頂きたいのが、約半年前に当スクールを卒業して、アメリカの支社に転勤された方のお話です。
ここからつらつらと詳細を書く事になるので、とりあえず結果が知りたいという方向けに結論を先に述べますと、中学一年生レベルの英語力だった方が3ヵ月間でアメリカで仕事をこなせるくらいになりました。
30代男性 社会人
3ヵ月後にアメリカの支社に転勤する事になった。実際にはもっと前に出ていた話だったが、コロナ禍のせいでなんとなく延期になっており、社会的にコロナ体制が収束気味になって急にその話が再浮上した。
その時点まで悠長に構えて何の対策もしていなかったので、とにかくできる限り英語でコミュニケーションができるようになりたい。
レベルチェックテストでは、簡単な自己紹介や質問はできる程度 → Level 3から開始
英語は大学卒業以降はほとんど使用した事がない。
学生時代も特に得意だったわけではなく、就職用に受験したTOEICは500点を少し超えたくらい。
海外旅行や短期赴任くらいの話なら、場面に応じて必要なフレーズをひたすら覚えるような方法でも良かったのですが、しっかり住み着いて成果を出す事を期待されていたとの事で、やはり文法的な基礎をしっかり身に付けて頂くしかないと、STEP UPコースを超圧縮して提供する事にしました。(全部オンラインレッスン)
・Level 3, 4:2 unit/日 × 6日/週 → 1ヵ月目終了
・Level 5 :1 unit/日 × 6日/週 + 15分Free Talk × 5回/週 → 2ヵ月目終了
・Level 6 :1 unit/日 × 6日/週 + 15分Free Talk × 10回/週 → 3ヵ月目終了
という事で、3ヵ月間で4レベルアップするというかなりの強行軍になりました。通常なら週1回受講で2年、週2回で1年かかる内容なので、その圧縮ぶりが伺えるかと思います。
Level 5以降はさすがに1日2コマだと情報過多になるのでペースを落としましたが、足りていない要素のフォローをしたり、シンプルに場数を踏むためにFree Talkの時間を増やしていきました。
3ヵ月間ほぼ毎日レッスンだった上に、短期間で一気に英語の難易度が上がったので私としても不安がありましたが、最終的には普通のペースでそのレベルを修了した方々と同じか、それ以上の英語力を身に付けておられました。
せっかくなので、私が勝手に色々語るより良いだろうと、ご本人にQ&A方式で感想を伺いました。
ブログ用に多少編集する事は承諾して頂いております。
Q. 当スクールでの受講を決めた理由は?
A. まずは有名どころも含めていくつかのスクールに話を聞きに行きました。その時にASISの卒業生だった知人にココを紹介してもらったのがきっかけです。できる/できないの二元論でもなく、「あなたの頑張り次第」みたいなフワッとした話でもなく、「このレベルまで修了すればこのくらいの事が話せるようになる」「現地に行ってから自力でやっていけるだけの基礎を固める」など、具体的に3ヵ月後の自分をイメージできる内容を話してもらえたのが決め手です。一応、レッスン料の支払いは会社負担だったのでそこまで気にしてなかったのですが、他のスクールの見積りを先に貰っていたので、ココの料金を聞いた時は驚きましたね。総額がほぼ1/3~1/4でしたから。知人からの紹介じゃなかったら、逆に怪しんで躊躇してたかもしれません(笑)。
Q. 短期集中レッスンを受けている最中はどうでしたか?
A. とにかく、やるしかないと思ってました。もともと英語が得意なわけではないのですが、予習する時に「あー、こんなんやったなあ」と思い出し、レッスンで更に「学校で習ったこの文法ってこういう時に使うのか」と納得しながら進んでいけました。初期の1日2レッスンはなかなか大変でしたが、まだ内容がシンプルだから付いていけたって感じです。上の方のレベルになると、学生時代でもよく分かってなかった内容が増えてきたのですが、今やるとビックリするくらいすんなり分かりました。多分ですけど、学習する順番って凄く大事なんでしょうね。カリキュラムの大事さがよく分かりました。
あと、レッスン以外の学習時間はは予習復習に1日30~1時間くらいでした。仕事をしながらなのでそれが限界です。「とにかく毎回8つの例文を完璧に言えるまで練習する」と課題を絞ってもらったおかげで、それだけは全力でやりました。超圧縮コースという事で、確かにめちゃくちゃ頑張りましたけど、時間的な意味ではそこまでキツイとは思いませんでしたね。レッスン込みで英語にかける時間は一日1~2時間くらいだったので、なんとか仕事と両立できましたし、出張などで予定が変わっても振り替え対応してもらえたので、学習ペースを大きく乱す事なくやり切る事ができました。
と言っても、前に進むのが精一杯で、復習はけっこう疎かになっていたと思います。なので、Level 5から15分のフリートーク時間を追加したのはとてもありがたかったです。時制の使い分けや、助動詞や前置詞の正確な使い方など、やっぱり一度レッスンを受けただけでは定着していなかったのだと痛感しました。そういう復習も兼ねて、英語で「週末に何した?」「アメリカに行ったら何がしたい?」のような気軽な会話を何度も繰り返し行えた事で、最終的にはあまり考えなくてもサラっと喋れるようになってきたと思います。
印象に残っているのは、「自分より先生の方が必死だった」という印象ですかね。と言っても、押しつけがましいようなものではなく、「絶対に向こうでやっていけるようにしてやる」みたいな気迫を感じたと言いますか。どんな質問にも答えてもらえましたし、平日の受講がどうしてもできなかった時は、日曜日もレッスンをしてくれたりと、「ここまでしてくれるのに、自分が頑張らないわけにはいかない」とモチベーションに繋がりました。自力でここまで頑張れたとは思えないので、ある意味これが一番ASISでレッスンを受けて良かった事かもしれません。
Q. 実際にアメリカに行ってどうですか?
A. とりあえず目標のレベルには達したという事でちょっとは自信も付いていたんですが、やっぱり当初は厳しかったです(笑)。まず空港のアナウンスは半分も分からなかったですし、現地のネイティブ達の発音も一人一人違うんですよ。それに、いざ喋ろうとしても、先生相手の時ほどスムーズに表現が出てこなくて、後で「あんなにやったのに!」ってなってました。特に自分の語彙力の少なさを痛感しましたね。ただ、そうなるだろうと最初のカウンセリング時に言われていたので、落ち込むというより「やっぱりまだまだなんやな~」と感じたくらいです。会話に必要な文法が固まっていたおかげで、逆にある程度聞き取れれば内容の推測ができましたし、発音や表現はトライ&エラーで「ああ、こう言えば伝わるのか」と修正していけました。さすがに単語はその都度聞いたり調べたりの繰り返しですね。先生からは「向こうに行っても自力でやっていけるように」と言われていた通り、特にトラブルを起こす事もなく、2週間くらいでかなり適応できたと思います。あれから半年経った今でも、発音が聴き取りにくい人や分からない単語はまあまあ存在しますけど、メインの仕事自体は順調です。冷静になってみると、Level 3と4で習った内容で日常もビジネスも7割くらいはいけるんですよね。もちろんもっと上のレベルの表現が必要な場面もありますけど、体感としては、難しい事も学んだからこそ日々の会話を割と簡単だと感じられるようになったという感じです。
こんな感じで、空気を読み過ぎているんじゃないかというくらい見事な感想を頂けました。間違いなくできるビジネスマンですね。
それはそれとして、この試み自体は私としても初めてだったので、慎重に様子を見ながら日々のレッスンを実施してきました。
まず、本来週2回のペースを想定していたカリキュラムなので、1日2レッスンや1レッスンをほぼ毎日やる形で大丈夫なのかと心配していましたが、それは杞憂に終わりました。冒頭で述べた通り、英語が特別得意だという方ではなかったのですが、出した課題(予習と例文暗唱)は毎回完璧にしておられたので、一度も詰まる事なくやり切る事ができました。つまり、しっかり予習さえしていれば無茶な話ではないと言えます。これが実例付きで証明できたのは私としても喜ばしい事です。
あとは、やはりフォローとしての15分Free Talkは追加して正解でした。40分レッスンでは次から次に新しい文法を扱うので、以前やった事が定着しにくいのはもっともな話です。特に、”I had a meeting this morning.”のような比較的簡単な表現はいちいち日本語→英語に翻訳するのではなく、反射的にパッと出せるよう繰り返して体に染み込ませるしかありません。3ヵ月目にしてようやくテンポよく会話ができるようになり、それと共に難しいレベルの表現を扱う際にも余裕が出てきました。理屈のみでなく、英語で話す感覚が体で掴めてきたという雰囲気だったと思います。
向こうでしばらく苦労された問題だけは、3ヵ月どころか1年、2年と日本で頑張っても直面するものだと思っています。まず発音については、私に限らず特定のネイティブ講師の言っている事が分かるようになっても、行く先々で微妙に発音の違う人たちとやり取りする事になります。結局は現地で耳にする英語に適応しなければならないため、日本にいながら完璧にするというのはほぼ不可能でしょう。言葉がスムーズに出なかったという点については、やはりアウトプットの経験不足と言わざるを得ません。できる範囲で頑張って頂いたものの、渡米前は日常の9割を日本語で過ごす生活だったので、さすがに100%英語の世界にいきなり馴染むのは無理があったかと思います。最後に語彙力については全ての英語学習者の永遠の課題であり、一生英語圏に住んでいてもしょっちゅう知らない単語に出会う事になります。別に英検やTOEICを受けるわけではないので、単語帳などを課題にはせず、レッスンで出てくる単語や質問された単語のみを覚えて頂き、あとは現地でその都度吸収していくしかないという方針で進めました。
「海外で働く上で十分な英語力を身に付けられたか」と問われると、不十分であった事は間違いありません。そもそもビジネスレベルの英語力という概念が大き過ぎる括りであり、網羅的に学習するよりも、その人が必要とする文法や表現に絞ってできる限りの事をするというのが現実な話だと思います。ひとまず、ご本人も仰っていた通り、「現地で大きなトラブルも無く比較的早く適応できた」というのがこの3ヵ月間の成果だったと言えます。この話の公開が卒業から半年後の今になったのは、「卒業後に本当に上手くいっているのか」を確認してから発表したかったからです。前置きでも述べた通り、「3ヵ月間でビジネスレベルの英語力を身に付けた」なんて話は雑にアピールできませんし。
また、参考までに、かかった費用と時間を実際の数字で以下に示します。
〇費用:Step Up :¥2,200/lesson × 24 lessons/level × 4 levels = ¥211,200
Free Talk :¥1,100/lesson × (5 × 4 + 10 × 4) lessons = ¥66,000
合計 :¥211,200 + ¥66,000 = ¥277,200(税込)
〇時間:Step Up :40分/lesson × 24 lessons/level × 4 levels = 3,840分
Free Talk:15分/lesson × 60 lessons = 900分
予習復習 :45分(1日平均) × 72日分 = 3,240分
合計 :3,840分 + 900分 + 3,240分 = 7,980分 → 133時間
3ヵ月間でこの費用、学習時間という事実をどう見るかは皆様のご判断にお任せします。仮に普通に受講する場合は、同じ金額と時間を1年または2年かけて費やすというシンプルな違いがあるのみです。特筆すべきは、ビジネスレベル習得に必要とされる1,850時間に対して(一応)133時間で済んだという点です。十分とは言えないものの、「一般論の10分の1以下の時間で何とかなるレベルに至った」という結果は成功と言ってよいのではないかと思います。少なくとも、ご本人がそう感じておられるようなので。
■まとめ
という事で、短期間で英語力を一気に上げる事は不可能ではないという事例が1つできました。さすがに1/1で「100%上手くいきます」と言えるほど厚かましくはないのですが、「やろうと思えばやれる」という実話が皆様のモチベーションアップに繋がればと願うばかりです。急に英語が必要になったという方や、短期間なら頑張れるという方、あるいは「同じ金額と学習時間ならさっさと習得した方が良い」と判断される方まで、是非試してみて頂きたいと思います。もちろん、じっくりと英語と向き合いたい方や、そこまで無理をする必要が無い方、現実的にそんなに時間を費やせない方なども多いでしょう。そういう場合は普通に週1、週2のペースで受講すれば良いだけですし、特定の水準に至るスピードが速いか遅いかの違いになります。今回の話は、短期でもやれるという選択肢があるくらいに受け取って頂ければと思います。
一点、短期集中学習の欠点を挙げるとすれば、英語から離れた時に落ちるスピードが速いという事があります。仮に3ヵ月の集中レッスンを終えても、それで満足して1ヵ月以上間を空けてしまうと、あっという間に落ちてしまうでしょう。今回の方はそのままアメリカに渡ったので、その後も順調に実力を伸ばしておられますが、一般論として短期で学習した内容は短期で脳内から消えてしまいがちです。もしやってみようという方がおられたら、集中学習後も週2か、せめて週1くらいのペースで英会話を続ける事をお勧めします。
この話は私としても喜ばしい内容で、もっと多くの方々のお役に立てるかもしれないと感じた出来事でした。
近いうちに短期集中コースとして打ち出すつもりなので、ご興味ある方は是非お問い合わせくださいね!